言語を学習するには、目的言語の文化も理解できたら、もっと楽しくなるのでしょう。
ここには、「中国と日本の数字文化について」観察した結果をまとめてみたいと思います。
日中の縁起がよい・悪いとされた数字について
ご存じの方も沢山いると思いますが、多くの中国人は6,8、9が好きで、縁起が良い数字とされています。
多くの日本人は「八」が好きですが、6、9との数字は好まないそうです。
また、中国人は7があまり好まないですが、日本では人気な数字です。
4の数字に対しては日中共に縁起の悪い数字とされています。
なぜこのようになっているのか早速みてみたいと思います。
数字6について
中国語の中には、「六(liù)六(liù)大(dà)顺(shùn)」との言い方があり、「六」は「順調」との意味に連想します。
一方で、日本語の中では「碌でもない」との言葉があり、6は「よくない」とされていると当教室の受講生から教えてもらいました。
数字8について
数字8は広東語の中では8と「发(fā)」との発音は近く、「发」は「金持ちになる/富む」との意味で、経済が飛躍的に発展している今日は8が特に人気な数字になっています。
日本語では、漢数字の「八」が縁起がよいとされ、理由は発音ではなく、その形から「発展していく・末広がり」との意味を捉えることができるからです。また、ある高校生から聞いたのですが、笑いを表す「ハハハ」も音や形が漢数字の「八」と似ていることからも好まれる理由だそうです。
数字9について
数字9の中国語の発音は「久(jiǔ)」と同音で、中国語には「天(tiān)长(cháng)地(dì)久(jiǔ)(天地のように)とこしえに変わらない」との四字熟語があり、9は「 长(cháng)久(jiǔ)(長い、久しい)」との意味をします。また、一桁の数字の中で、9は一番大きい数字だから、人々に愛されています。
それに対して、日本では9は縁起の悪い数字とされ、その理由は9(く)の発音は「苦しい」の「苦(く)」と同音だからです。
数字4と7について
また、4は中国と日本どちらも縁起の悪い数字とされています。理由は中国語も日本語も4と「死」の発音が同じだからです。
7の数字については、理由はほかの数字のようにはっきりしていないですが、中国では好まない人が少なくないようです。
一方、日本ではアメリカなどの文化の影響によって「ラッキーセブン」の考え方が定着し、人気な数字になっているようですね。
奇数と偶数について
最後に、中国人は奇数より偶数の方が好みます。
「好(hǎo)事(shì)成(chéng)双(shuāng)(よいことは対になる、いいことが重なる)」との考え方を持っているからだと見られます。
日本は奇数の方が好ましいと思われます。
日中の数字文化のまとめ
以上の内容を簡単に表でまとめてみると次のようになります。
中国 | 日本 | |
縁起の良い数字 | 6・8・9 | 7・八 |
好まない数字 | 7 | 6 |
縁起の悪い数字 | 4 | 4・9 |
好む数字のパターン | 偶数 | 奇数 |
以上の数字文化から観察してみると、縁起が良いかどうかは、その発音や形などによるモノが多いと考えられます。
しかし、数字9のように、日中ともに発想」は「発音」によるモノですが、意味は全く異なるところが面白いですね。
また、数字文化については、気になる人も気にならない人もおられることに留意したいところですね。
余談ですが、現在≪易経≫を勉強しており、≪易経≫の習坎卦から、6は日本では好まない数字になっていることにヒントを見つけました。
≪易経≫の先天八卦の順は「一乾・二兌・三離・四震・五巽・六坎・七艮・八坤」のようになっています。「坎卦」は「六」になります。
「六坎卦」を上下重ねていくと「習坎卦」になり、数字で表すと「66」となり上卦も下卦も坎☵であることから、
≪易経≫の六十四卦の中で最も辛く困難な時で、四大難卦の一つと称されています。
この「習坎卦」」からみると、「六」が好まない日本の数字文化をよく理解できるようになったと喜んでいる私がおります(笑)。