神戸三宮一粒中国語教室の李です。
今月(2019/11)の第2日曜日は中国語教授法研究会・ビジネス中国語研究会例会・ママ卓球リーグとの3つのイベントがあり、どれも参加したかったです。それぞれの時間帯が被っており、迷って迷った結果、やはりどうしても参加したい「中国語教授法研究会」を選択し参加してきました。
「行って良かった!」と2日が経った今もまだ興奮しております。
今回の中国語教授法研究会に参加した理由
「一粒」の中国語民間講師として、大学などと比べると学ぶ場が少ないと言えます。また、他人の教授方法を見る機会がなく、自分自身の指導方法をシェアしたり、アドバイスをもらったりする場があまりないのが現状です。よって、不安を抱えながら自分なりの模索に頼って日々の中国語レッスンを行っています。ネイティブスピーカーの中国語教員の教え方(教授法)や考え方(理念)を見てみたい、ほかの最前線におられるベテラン日本人の中国語教授らの教え方(指導方法)を見てみたいと強く思っています。中国語教授法研究会には、ベテラン教師を指導することまで見ることができます。また、メンバーは高校・大学・民間などの中国語教員・研究者・教授などから構成されて、教授スキルや理念などの共同課題を共有できるだけではなく、幅広い交流もでき、「引き出し」は必ず増やせるので、中国語教授法研究会の例会を毎回楽しみにしております。
今回の中国語教授法研究会で学んだこと
今回のテーマは「汉语的语音教学与朗读视角下的汉语语音教学」で、長年中国語の発音指導をされている劉教授が講演しました。
朗読を通じて中国語(外国語も同じと思う)の発音練習を楽しみながら上達になってほしいとの思いで、私は普段も実践しております。
ただ、私自身は朗読に関する知識が少なく、ネイティブスピーカーの感覚に頼ってしまう部分もあったので、私にとって喉から手が出る聞きたいとても魅力的なテーマです。
講演会を聞いて特に印象に残ったことは幾つかをピックアップしてみます。
中国語の発音指導は長期的行うこと
現在は発音の指導時間は短く集中して行い、速成できるようになっています。
中国語ではこんな言葉があります。
【欲速则不达】yù sù zé bù dá:せいては事をし損じる.功を急げば目的を達することができない。
中国語の発音指導の現状について、この言葉を借りて言うと、【欲速则难达】(功を急げば目的を達することが難しい)と言えます。
中国語の発音指導は初段階だけではなく、学習する期間中(長期間)に常に意識しながら行うべきです。
中国語の発音に対して寛容度を持つべき
中国語学習者に対して、一律アナウンサーのような発音を求めるのではなく、寛容度を持って、柔軟的に対応すべきです。異なる対象と異なる学習の目的によって”地方普通話”や”大華語”の教育指導理念を理解した上に指導を行う必要があるでしょう。
適切に中国語の発音を簡約化
『漢語ピンイン法案』をペースに、一部の発音が難しく規律性を欠けているものに対して簡約する方法を選択できます。それによって学習者の負担を減らせることができ、目的に達する一助になります。
例えば、
「儿化音」の”一点儿” を ”一点 ”(場合によっては” 一点点”も可)と発音してよいです。
音声は変化し続けているので、有効性と実用性を留意しながら発音指導を行いましょう。
朗読は発音教授法の有効な方法の一つ
朗読は文字を音声に転換する創作であり、朗読を通じて、学習者は語調(イントネーション)と語流(文の流れ)の中から音節の正確な発音を感じ取ることができます。朗読の際は、感情をこめてその語感(ニュアンス)を現わせるように意識します。
朗読は、眼观(目で観察)、耳听(耳で聞く),口诵(口で読む)とのプロセスを経て、総合的に中国語のレベルを上げることができます。
「字→語彙→文→段落→文章」を結び付けて、語調(イントネーション)と語流(文の流れ)の中で中国語の発音指導を行うのが効果的な方法の一つです。
中国語教授法研究会で私の教え方と考え方を確認できたこと
今回のベテラン教授の講演会を聞き、そして、ほかのベテラン教授や中国語教員の話を聞き、自分自身が普段実践していることを幾つかを確認でき、自信に繋がっています。
1.発音指導は、段階的に長期的に渡って行う。
入門・初級段階において、集中的に発音指導を行いますが、その後も語彙や文章の中で常時発音の矯正を行うようにしています。
2.異なる学習対象と学習目的などによって、指導方法を変える。
一人ひとり合わして、「オーダーメイド」との対応をしております。
例えば、
「中国語でコミュニケーションを取れるように」と目指している社会人や経営者の学習者に対しては、発音は8割程度できたら、とにかく場面を設定して会話を増やしてすぐに使える中国語を練習します。また、中国の文化なども適度に補足します。
小中高生に対しては、まずは趣味を持ってもらい、楽しく練習していくように工夫しています。
3.「字→語彙→文→会話」を結び付けて練習。
学んだ語彙を応用できるように、できるだけ文或いは会話に導き、覚えてもらうようにしております。会話の中、語感と強弱も意識しながら指導しております。
例えば、
咖啡 → 喝咖啡 → 喜欢喝咖啡→ 我喜欢喝咖啡
A:你喜欢喝咖啡吗 ?
B: 我喜欢喝咖啡/我不喜欢喝咖啡。
4.状況に応じて簡約して発音指導。
私は中国南部出身なので、正直日常生活において「儿化音」を使わないです。例えば、”一点儿” を ”一点” 或いは” 一点点”を言います。コミュニケーション上には何の問題もありません。
一般的に、日本人の中国語学習者にはこの「儿化音」が難しい発音の一つです。
なので、教科書で出てきた”一点儿” を ”一点” 或いは” 一点点”を言ってもよいです。自分の好きなパターンを選んで発音してよいです。ただし、会話の時は相手が”一点儿” ”一点” ” 一点点”のどれを使うのか分からないので、聞き取れるように3つの発音とも知識として知っておくように教えています。
また、”哪个””誰”などのような複数の発音を持つケースも上記と同じ考え方で行っています。
5.音読を習慣に。
最初、中国語の音読を宿題として考えたきっかけは数年前です。当時小1の子供が毎日音読(日本語ですが)の宿題があり、読んだら親がサインするのが日課でした。それを見て中国語の受講生にも毎日音読したら、学習効果が変わるはずだと思って、中国語の音読宿題を出すようにしました。
また、中国語は日本語と違い、強弱をつけて一つ一つの音節をしっかり発音した方が中国語らしい中国語になるので、「字→語彙→文→段落→文章」を結び付けて音読するように指導しています。結果、一定の効果がみられていると思います。
6.タイミングを逃さず適切に褒めること。
できたこと或いは一歩進んだこと・少しでも改善したことなどに対して褒められたいのが子供だけではないですよね。
よくできたら、タイミングよく言葉或いはボディランゲージで褒めるように意識しております。
7.指導方法は「直接法」と「間接法」を兼用。
初級の方には、日本語で説明して(間接法がメイン)レッスンを進んでいきます。
学んだ中国語の語彙が増えることにつれ、中国語で説明すること(徐々に直接法へ移行)を増やせるようにしています。
実務から見ればこれは最も有効な方法の一つで、お互いの負担を最小限に理解度を最大限にできていると今のところはそう思っています。
中国語教授法研究会に参加した結果と今後の課題
今回の研究会を参加して、自分自身が普段行っている指導方法を確認できたことによって自信度アップしたことが一番の収穫だといえるかもしれません。また、他の方の指導方法と理念を聞き共感できたところやヒントになるところ、借りて実践したいところが幾つもあり、大変有意義な研究時間でした。
これからの課題
私は大学は総合政策学部で幅広く勉強し、大学院の時は翻訳理論を中心に研究しました。中国語を教えて10年以上になっていますが、実践の中で模索しながらやってきたので、中国語の音声教育に関して、知識不足だと大変痛感しております。
これからもできるだけ研究会を参加し、ベテラン教授らから知識を取得したいです。また、同じ中国語教員としての課題をシェアし合い、刺激し合い、今以上に日々勉強して、邁進してまいりたいと考えております。
これからやりたいこと
日本人の中国語学習者向けの朗読材料を少しずつ収集し創作していきたいです。
(※またブログに更新します)