中国語の方位詞”中”と”里”はどう違うの?
神戸三宮 一粒中国語教室の李です。
中国語受講生から中国語の方位詞”中”と”里”について、どちらを使ったらよいか分からないとの質問を受けました。
確かに、中国語の方位詞”中”と”里”は共通している意味を持ち、入れ替えできる場合もありますが、まったく異なる使い方もありますので、外国人の中国語学習者を困らせる語彙の一つですね。
ここでは、「日中中日辞典」の解釈を参考しながら、中国語の方位詞”中”と”里”について、日常生活や実務上のよくある使い方を念頭に説明してみたいと思います。また、よく単独で使われる”这里/那里/哪里”や”里边/里面“などのような紛らわしくない事例は省略します。
中国語の方位詞”中”について
☞方位詞”中”はある範囲内や中央を表す。単独では用いない。
1. 名詞+“中”の形で,場所・時間・状態などを表す.書き言葉に用いることが多く,話し言葉では“里”を用いります(”里”と入れ替え可能)。中(に,で);中(ほど)の.中央(の).中級(の)の意味になります。
◆家〜无人
家にだれもいない.
◆跳tiào入江〜
川に跳び込む.
◆树林〜一片静寂jìngjì
森はしんと静まっている.
◆假期jiàqī〜
休暇中.
2.動詞+“中”の形で,過程・状態の持続を表す.
◆讨论tǎolùn〜发现了一些新的问题
討論中,いくつかの新しい問題が出てきた..
◆球赛在进行〜
(球技の)試合が進行中である.
中国語の方位詞”里”について
1.介詞(“往、朝、从、由、向”など)+“里”の形、”中”と入れ替えできない。単独で用いります。”中.内部”の意味で、第三声のまま発音します。
◆请往〜走
どうぞ中へ入ってください.
◆从窗户朝〜看
窓から部屋の中を見る.
◆从〜到外
中から外へ.
◆由外往〜拿
外から中へ運ぶ.
◆他面向〜坐着
彼は顔を中のほうに向けて座っている.
2. 名詞+“里”の形で, 場所・時間・範囲などを表す。 ”…の中”の意味です。軽声と発音されます。
場所をさす。
この場合は、「名詞の後ろに接尾詞”里”を加えて、一般名詞を場所名詞(…の中)に変えるため」との理解も可能だと考えます。
また、中国、神戸のような地名である固有名詞の後ろには基本的に”里”を付けません。
但し、学校、公司のような機構や公的な場所を表す名詞の後ろには、”里”を付けても付けなくても構いません。
◆他住在城〜
彼は城内に住んでいる.
◆房间〜没有一个人
部屋の中にはだれもいない.
時間をさす.
◆昨天夜〜你睡得好吗?
昨夜はよく眠れましたか.
◆假期jiàqī〜你打算dǎsuan干什么?
休暇中は何をするつもりですか.
範囲を表す。”中”と入れ替え可能です。
◆他的话〜有话,你听出来了吗?
彼の話には含みがあるが,読みとれましたか.
◆这个发言〜没有涉及shèjí经济问题
この発言は経済問題に触れていない.
◆成员chéngyuán〜没有老李
メンバーの中に李さんが入っていない.
3.機構を表す名詞+”里”の形で、機構そのものをさすことも,機構のある場所をさすこともできる.また,“家里”は,家の人と家のある場所のどちらかをさすことができる.日常会話で”中”はこのような使え方を聞いたことがありません。
◆跟家〜说一下
家のものにちょっと話す.
◆城〜的姑娘gūniang
都会(場所をさす)の娘.
◆我从家〜来
私は家から来た.
4.人体の一部分を表す名詞+”里”の形で,具体的な部位もしくは抽象的な意味を表します.書き言葉として”中”と入れ替えることができると考えます。
¶手〜拿着一支钢笔gāngbǐ
手にペンを持っている.
¶手〜的钱快花光了
手もとの金はまもなく使いはたしてしまう.
いかがでしょうか。ネイティブには母語あるいは母国語に対する直感に頼って何気なく使っていると思いますが、外国人の中国語学習者には難しいでしょう。わからないことがありましたら、ネイティブに聞いたり、調べたり、疑問を以って文章を読んだりしていくうちに、分かってくると思いますので、日々コツコツ頑張っていけば必ず身に付けるでしょう。
これからも一緒に中国語を元気よく楽しく学びましょう。